2015年6月12日金曜日

南シナ海問題(4):米国防長官、中国軍トップに埋め立て停止を直接要求、米国の警告は口先だけ?

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● NNNニュース


ロイター  2015/6/12 09:37
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150612-00000022-biz_reut-nb

米国防長官、中国軍トップに埋め立て停止を直接要求


● 6月11日、カーター米国防長官は、中国軍制服組トップである范長龍・中央軍事委員会副主席と米国防総省で会談し、南シナ海で中国が進める大規模な埋め立てを停止するよう要求した。写真は、カーター米国防長官(右)と中国の范長龍・中央軍事委員会副主席、11日撮影(2015年 ロイター/Gary Cameron)

[ワシントン 11日 ロイター] -
 カーター米国防長官は11日、中国軍制服組トップである范長龍・中央軍事委員会副主席と米国防総省で会談し、南シナ海で中国が進める大規模な埋め立てを停止するよう要求した。

 同省によると、カーター長官は中国と全ての関係国に対し、南シナ海の埋め立て作業と軍事化を中止し、国際法に基づき平和的に問題を解決するよう求めた。

 また、米中軍用機が接近した際、不測の事態が起きるリスクを抑えることを目的とした両国間の取り決めについて、カーター長官は9月までの合意を目指すと改めて表明した。



2015.6.12(金) Financial Times
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44013

南シナ海で優位に立つ中国
米国vs中国、これは新たな冷戦なのか?
(2015年6月11日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)


●南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)のミスチーフ礁で、中国が進めているとされる埋め立て工事を軍用機上から撮影した写真〔AFPBB News〕

 南シナ海で奇妙なことが起きている。
  中国は過去18カ月間で、2000エーカー(約8平方キロメートル)の土地を埋め立て、水面下の砂礁や岩礁を完全な「島」に変えた。
 中国による埋め立ての取り組みは、他国、特に近隣のスプラトリー(南沙)諸島に対する領有権を主張するフィリピンとベトナムによる埋め立てを圧倒する規模だ。

 中国は埠頭や港、数階建てのビルも建設している(もっとも、国際サッカー連盟=FIFA=のサッカー競技場はまだない)。

 スプラトリー諸島のファイアリクロス礁では、中国政府が自由に使える、あらゆる軍用機に対応可能な全長3キロの滑走路を建設した。

 活発な活動を受け、警鐘が鳴り響いている。
 今月、フィリピンのベニグノ・「ノイノイ」・アキノ大統領は東京で行った講演で、中国の活動をナチスドイツのチェコスロバキア併合になぞらえた。
 米国のアシュトン・カーター国防長官は中国の行動を、国際的な規範からの「逸脱」と呼んだ。

 カーター長官は、米国は国際法が許す限りどこでも「飛行、航行し、作戦行動を実施する」と述べ、「水面下の岩礁を飛行場に変える」行為は、当該国にどんな主権を与えるものでもなければ、他国の航行、上空飛行の権利を制限するものでもないと明言。
 中国と、領有権を主張する他の国々は、即刻すべての埋め立てをやめるべきだと述べた。

■米国の警告は口先だけ?

 ここで1つの疑問が生じる。
 米国はこれについて何をするのか、という疑問である。
 短い答えは「特に何もしない」というものかもしれない。

 米国は新たな島の近くに軍用機を飛ばし続けている。
 米国とその他諸国は共同戦線を張っていることを示そうとして軍事協力を強化している。
 だが、中国の埋め立てプログラムは依然、急ピッチで進行している。
 カーター長官の言葉は、シリアにおけるバラク・オバマ大統領の「レッドライン(越えてはならない一戦)」のように聞こえる。

 中国政府が米国政府にやれるものならやってみろと挑み続けたら、真実が明らかになるだろう。
 つまり、米国は声高に話すが、小さな力しか行使しない、ということだ。

 米国政府が行動するのがこれほど難しいのは、なぜか。
 1つには、中国の行動は協調の精神には則っていないかもしれないが、明白な違法行為でもないということがある。
 フィリピンとベトナムも土地を埋め立てた。
 中国は単に工業規模で同じことをしただけだ。

 また、スプラトリー諸島に対する中国の領有権主張も完全に間違っているわけではないと法律の専門家は言う。

 確かに、これらの島は中国よりも、(ブルネイとともに)やはり領有権を主張しているフィリピン、ベトナム、マレーシアの3カ国に近い。

 しかし、アルゼンチンがフォークランド(マルビナス)諸島を巡る英国との紛争に関して証言できるように、距離の近さは必ずしも決定的な要因ではない。

 最後に、中国はあからさまに航行の自由を脅かしているわけではない。
 領有権を主張する海域内での軍事活動は制限しようとしている。
 これは国際法に違反しているかもしれないが、国連海洋法条約は軍事活動――偵察など――は関係沿岸国の権利に「然るべき配慮」をしたうえで行われるべきだと定めている。

 中国が明らかにこれを試みているのは、軍事活動の制限を人工島に広げる取り組みにおいてだ。
 米国が最近、新たな人工島の近くに哨戒機「P-8ポセイドン」を飛ばした時、中国海軍は同機に立ち去るよう警告した。

■はったりのゲームなら、中国の方が戦う意欲が強い


●米国のジョン・ケリー国務長官は5月に訪中し、南シナ海での人工島建設問題について協議したが、中国側は強硬な態度を崩さなかった〔AFPBB News〕

 ここでも結局、米国はこれについて何をする用意があるのかという問題に行き着く。

 米国は、中国の人工島の12カイリ(約22キロ)以内に軍艦を派遣することを検討していると話している。
 この脅しを口にした以上、米国は多分に実行に移さざるを得ないと感じるだろう。

 しかし、中国は対応する力を持たないわけではない。
 中国も軍艦を送り込むことができる。
 また、本当に大きな賭けに出たいと思えば、南シナ海の全域あるいは一部の上空に防空識別圏の設定を宣言し、理論上、圏内に入る航空機に中国当局に存在を報告することを義務づけることもできる。

 もし中国と米国がはったりのゲームを繰り広げているのだとすれば、疑われるのは、中国の方が戦う意欲があるのではないかということだ。

 一つひとつは血を流す価値がない一見小さな問題について喧嘩を売るのが中国の戦術だ。

 それでも、これらを総合すると、ほとんど察知されずに、地域における米国の「優位性」に挑む中国の野望を前進させるのだ。

 オーストラリア人の学者、ヒュー・ホワイト氏は、中国は
 「非常に長いソーセージの非常に薄いスライス」
を切っていると言う。
 中国の習近平国家主席はすでに、ソーセージがどんな姿をしているのかを我々に教えてくれた。

■アジアにおける米国の優位性に挑戦

 習主席は、アジアにおいて中国により大きな敬意――および力――を与える新しいタイプの「大国関係」を求めている。
 これは世界的な米国の優位性を脅かさないが、中国が少なくとも対等な国として扱われることを望んでいるアジアでは米国の優位性に挑むものだ。

 南シナ海での中国の行動は、この戦略の重要な部分だ。
 ニューサウスウェールズ大学の安全保障の専門家、カール・セイヤー氏はこう書いている。
 「中国は『現実世界における事実』を変え、地域に既成事実を突き付けた」

 既成事実の問題は、米国政府が気づきつつあるように、それについて何もできない
ということだ。

By David Pilling
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●深層NEWS 宮家邦彦VS朱建栄 緊迫!南シナ海と中国 2015年6月8日
2015/06/08 に公開


東洋経済オンライン 2015年06月13日
http://toyokeizai.net/articles/-/72991

南シナ海で実力行使、高まる米中衝突の危機
米中双方が相手の主張を許さない


●サンゴ礁の島々では中国が埋め立てを進めている。軍事目的の施設も建設中だ。(ロイター/アフロ)

 「YouGo!(出ていけ!)」イラついた調子で叫んだのは、中国海軍を名乗る無線交信だ。

 2015年5月20日、中国海軍は、南シナ海上空を飛行する米海軍の「P8Aポセイドン」哨戒機に対し、8回の警告を発した。
 米テレビ局CNNの取材班が同機に搭乗して翌日に報じた。

中国海軍が発した警告には興味深い点がある。

■「軍事警戒圏」という言葉の意味

 第一は軍隊と警察の混同である。
 「こちら中国海軍、中国海軍、中国コーストガード」と、同一人物が一回の送話の中で、海軍とコーストガードの両方を名乗っている。

 コーストガードは法執行機関であり、軍隊とは区別される。
 行使するのは武力ではなく、警察としての権限だ。
 国際法上の扱いも異なる。だが、中国は南シナ海において、海軍とコーストガードを混同して運用しているようにも見受けられる。

 第二は中国海軍が米軍機に、「軍事警戒圏に近づいている」と警告したことだ。

 この「軍事警戒圏」は、中国の造語なので、何を意味しているのか正確にはわからない。
 しかし、言葉の意味から考えれば、「この領域に入れば軍事的対抗手段を取る」という内容に受け取れる。
 国際空域に、中国独自の概念に基づく実力行使可能な範囲を設定した
ということだ。

 「領空」の外側でも米軍機に対し、
 「警告」という一種の実力行使をするために作られたのが、「軍事警戒圏」という概念であり言葉である。

 同様に中国は、「領海」という表現を用いず、「南沙諸島と近海には争いようのない主権を有している」と繰り返す。
 「領海を越えて南シナ海全域に主権が及ぶ」と、現段階で明言すれば、国際社会からは激しく批判される。
 「近海」という言葉を使うことで、主権が及ぶ範囲をあいまいにしたまま、実力行使できるようにしておきたいのだ。

 いずれも
 「領土・領海・領空を越えて南シナ海全域に主権を及ぼす」
という中国の意図の表れだ。

 一方で中国は、「軍事警戒圏」という言葉を使用したことで、自ら緊張緩和の努力を台なしにしてしまった。

 今年4月10日、米軍と中国軍との間にテレビ電話が正式に開通し、米統合参謀本部議長と中国総参謀長との会談が行われた。
 これに続き、同月29日には、米海軍作戦部長と中国海軍司令員とのテレビ電話会談があった。
 そこで中国海軍司令員は、南シナ海における埋め立てや施設の建設は、
 「航行や飛行の自由を脅かすものではなく、気象予報や海難救助など公共財提供能力向上のためだ」
と述べた。
 さらに、米国およびその他の国・機関に対し、その共同利用まで持ちかけたのだ。

 ただ、
 南シナ海を「軍事警戒圏」としたことで、
 人工島に建設中の施設が軍事目的のもので、航行や飛行の自由を制限する意図があることを、自ら宣言
してしまった。

■強硬姿勢に転じた米国



 米軍はといえば、警告を意に介さず、行動を継続するだろう。
 米国はこれまで中国の「力による現状変更」に、強い姿勢で応じなかったことが誤りだったと認識している。
 その間に、中国は南シナ海で8平方キロメートルにも及ぶ埋め立てを行い、軍事利用可能な施設を建設してしまった。

 米国は、実力行使しなければ、中国の意図をくじくことはできないと理解した。
 ここでいう「実力行使」とは、フィリピンやベトナムとともに、中国に占領されたサンゴ礁を奪還することではない。中国の「南シナ海全域に主権が及ぶ」という主張を否定するための行動を取ることである。

米海軍艦艇と航空機の南シナ海におけるパトロールは、
 「南シナ海はグローバルコモンズ(公海)である。
 したがって米軍は自由に活動を行う」
という米国の主張を、行動で示すものだ。
 CNNに報道させたのは、中国および国際社会に向け、
 「中国が巨額の資金を投じて急速に埋め立てを進めても無意味である」
と、知らしめるためだ。

 現在、米中両国を含めて誰も、米軍の活動を南シナ海から排除することも、
 中国の人工島建造を止めることもできない。
 チキンレースである。

■人口島を「島」と認めない

 米軍は実力行使のレベルを一段上げようとしている。
 米国防総省ウォレン報道部長が、中国の人工島から12カイリ(約22キロメートル)内に米軍を進入させるのが「次の目標」だと明言したのだ。
 中国が「領海」と主張する海域である。

 米国は中国の人工島を島と認めない。
 したがって、領海も存在しない。
 人工島のすぐそばであっても公海であり、艦艇や軍用機が自由に行動しても問題はないのだ。

 しかし、これは中国にとって、極めて深刻な事態である。
 中国の南シナ海における主権の主張は、南沙諸島の領有を根源にしている。
 領有を主張する人工島が島でなければ、「南沙諸島とその近海に主権を有している」とする主張は、その根拠を失う。

 したがって中国は、「中国の主権が及ぶ」とする海域および空域に進入する米軍艦艇や航空機に対して、さらに強硬に排除を試みるだろう。

 米中双方とも、相手の主張を許せば、自らの安全保障の根幹が揺らぐ。
 そして、その主張は、実際の軍事力によって誇示されている。
 双方が引かなければ、いずれ衝突が起こる。単純な話だ。

 が、そのダメージは計り知れず、日本や周辺諸国にとってもひとごとではない。
 日本は、米国の同盟国として、何よりも独立国として、衝突回避と危機管理の有効策を考えなければならない。

小原 凡司 :東京財団 研究員・政策プロデューサー
(「週刊東洋経済」2015年6月13日号<8>「核心リポート05」を転載)



レコードチャイナ 配信日時:2015年6月13日(土) 19時33分
http://www.recordchina.co.jp/a111428.html

「南シナ海問題は平和的解決を」米国防長官が中国の制服組トップと会談
=米国ネット「開戦を発表すれば?」
「無意味な会談」

 2015年6月12日、ロイター通信によると、カーター米国防長官は11日、訪米した中国の范長竜(ファン・チャンロン)中央軍事委員会副主席と会談し、南シナ海での岩礁埋め立てを中止するよう強く求めた。

 カーター米国防長官は11日、中国の范長竜中央軍事委員会副主席と会談し、中国が行っている南シナ海での岩礁埋め立てに対する懸念を示し、南シナ海の領有権問題は国際法にのっとって平和的に解決すべきだと述べ、埋め立てを中止するよう求めた。
 カーター長官はまた、米中の空軍機が突発的な衝突を防ぐための行動基準については、9月までに合意することを目指すと明言した。

この報道に、米国のネットユーザーがコメントを寄せている。

「開戦を発表したらいいんじゃないのか?」
「米国は中国に要請することしかできない。
 結局のところ、中国は自分のやりたいようにやって、誰もどうにもできないんだろうな」
「米政府は自国のことに注力して、米国民のために尽くすべきだ。
 国民の税金を戦争に使ってはいけない」

「米中の間でまたしても意味のない会談が行われた」
「無意味な会談だ。
 中国は聞く耳など持っていない。
 米国はさまざまな課題について中国と協力できると夢見ることはやめるべきだ。
 中国は戦争しか理解できない」
「貿易制裁をすべきだ!」
「太平洋地域を守るための唯一の解決策は、中国を経済破綻させることだ。
 中国製品の不買運動をしよう」




●TBSニュース



ロイター 2015年 06月 16日 12:33 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0OW08S20150616

南沙諸島の埋め立て、近く一部完了へ=中国外務省

[北京 16日 ロイター] -
 中国外務省は16日、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進めている埋め立て工事について、一部が近く完了するとの声明を発表した。

 フィリピンや米国などは埋め立て工事に反対している。

 同省は、南沙諸島で進めている建設工事について、軍事目的のほか、海難救助、災害対策、環境保護、航行安全の目的があると改めて表明。
 埋め立て工事の完了後に「重要な機能を果たす」施設を建設する方針を示した。


ロイター 2015年 07月 17日 10:14 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKCN0PR03K20150717/

焦点:中国にらみ戦闘機配備へ、
フィリピンが元米軍基地を再利用

[マニラ 16日 ロイター] -
 フィリピン本島の西側に位置し、中国などと領有権を争う南シナ海に面するスービック湾。フィリピン軍は来年以降、同湾にある元米海軍基地に、戦闘機10機以上とフリゲート艦2隻を配備する。
 複数の軍当局者が明らかにした。

 安全保障問題の専門家らは、同基地を23年ぶりに軍事利用することで、南シナ海での中国の動きに対し、より効果的な対応が可能になると指摘する。

 フィリピンの専門家ロメル・バンラオイ氏は
 「軍事基地としてのスービックの価値は米国が証明済み。
 中国の防衛当局者たちもそれを分かっている」と述べた。

 スービックはかつて、世界で最も大きい米海軍基地の1つだったが、冷戦終結後にフィリピンが米国との軍事協定を破棄し、1992年に閉鎖されていた。
 その後、フィリピン政府は同基地を経済特別区に指定した。

 バティノ国防次官はロイターに対し、同区を管理するスービック湾都市圏開発庁と軍の間で、
 基地の一部を使用できる15年のリース契約
が5月に結ばれたことを明らかにした。

 米軍艦は2000年以降、フィリピン軍との合同演習の際に停泊したり、修理や補給のため同基地の商業施設を利用するなど、定期的にスービック湾に寄港している。

 当局者らによれば、スービック湾が再び軍事基地として使用されれば、米海軍はフィリピンとの新軍事協定のもと、スービック湾の利用を大幅に拡大できる。
 ただ、昨年4月に署名された新軍事協定をめぐっては、フィリピンの元上院議員らが憲法違反だとして最高裁に提訴しており、同協定は棚上げされた状態にある。

 スービックの基地再利用は、中国の海洋進出に対抗するフィリピン軍の新たな一手となる。
 米国、日本、ベトナムとの安全保障協力強化に加え、
 フィリピンは向こう13年間で200億ドル(約2.5兆円)を費やし、軍を近代化する計画だ。

 こうした動きについて中国国防省は、「地域の平和と安定にフィリピンがさらに貢献することを期待する」とロイターにファクスで答えた。

<航空団を移転>

 フィリピン軍高官2人が匿名でロイターに語ったところによると、2016年初めにまず、韓国航空宇宙産業が製造する軽攻撃機「FA50」2機が元スービック海軍基地に配備される。
 
 同基地にはFA50の飛行中隊のほか、戦闘航空団も本島北部の基地から移転される。
 また、スービック湾には海軍のフリゲート艦2隻も配備されるという。

 2人はこうした措置の理由として、南シナ海に近いことや同基地を再利用する容易さを挙げた。

 同基地は20年以上も基地として機能していなかったため、新軍事協定で米軍が利用できるフィリピン軍の施設8カ所には含まれていない。
 ただ、バティノ国防次官は米軍が同基地を利用できる可能性を示唆している。

 最高裁で審理中の新軍事協定の判断は、数カ月以内に出される見通し。米国防総省は、米軍が利用可能なフィリピン軍施設に関する非公式協議があったとした上で、最高裁の判断が出るまではどのような計画も実行には移されないとしている。

<戦略的な岩礁> 

 安全保障の専門家は、スービック湾がスカボロー礁(中国名・黄岩島)からわずか270キロに位置していることに注目している。
 スカボロー礁をめぐっては、フィリピン海軍と3カ月にわたる対立の末、2012年に中国が実効支配した。

 中国が一部に軍事施設も備えた人工島の建設を進める南沙(英語名スプラトリー)諸島は、スカボロー礁の遠く南西に位置する。
 いずれ中国がスカボロー礁に人工島を建設する日がやって来るかもしれない。

 そうなれば、フィリピンが本島沖の排他的経済水域(EEZ)を守るのがますます困難になる恐れがあると、新アメリカ安全保障センターのパトリック・クローニン氏は指摘する。

 「新しい韓国製の軽攻撃機なら、たった数分でスカボロー礁に到達できるだろう。
 海洋哨戒機やドローンも同域での中国の動きを絶え間なく伝えてくれるようになる。
 フィリピン空軍によるスービック基地の復活は賢明な防衛反応のように思える」

(Manuel Mogato記者、翻訳:伊藤典子、編集:宮井伸明)




●追い詰められた中国「習近平」!南シナ海2015米中開戦最後?の駆け引き!急変するワシントンの空気に「習近平」は…!ダシにされた「二階俊博」【石平】
2015/05/29 に公開




中国の盛流と陰り

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